矯正歯科でよく聞かれる質問

Q. 矯正治療の期間はどの程度かかりますか?

出っ歯、歯のでこぼこ、受け口など咬み合わせの不正を正して、良く咬めるようにするためには、矯正装置を用いながら顎骨の中を計画どおり予測どおりに歯が移動する必要があります。 矯正治療を始める時期が、こどもの歯並びの段階であれば、矯正の終了は、12歳臼歯の萌出が完了する、またほぼ思春期成長が終了する15~16歳ごろとなります。この間、常に装置をつけているわけではなく、また、頻繁に矯正歯科へ通院し続けるわけではありません。成長終了まで、咬合完成まで管理をし、必要な時期に必要な治療をするということです。お子さんの成長、歯の萌出を観察しながら必要な時期まで何もしない(何もしないことも大事な治療です。)こともあるのです。

成人の方や永久歯にすべて生え変わった方は、不正咬合の程度、あごのアンバランスの程度によって大きく期間は異なります。歯が顎骨(歯槽骨)の中を適切に移動するためには、ある程度の時間が必ず必要となります。よく、「何年もかかるのですね」と言われることがありますが、骨を溶かし、歯が動き、また骨を作るを繰り返す、骨の代謝という体の働きを利用しているので、その働きに見合うぶんだけの時間がかかるのです。通常当院でも、目安として抜歯が必要な患者さんでは1年半から2年の歯を動かす時間がかかると説明させていただいています。


Q. どの歯を抜くのですか?

歯を抜く必要がある場合では、小臼歯と言う歯を抜く割合が比較的多いのではないでしょうか。しかし抜歯の部位は、患者さんの口の中の状態や骨格によって大きく変わります。生まれながらに歯がない、虫歯などが原因で歯がない、逆に余分にある、長く持たない歯がある、非常にあごが大きい・小さいなどなど、条件によって最も良い咬み合わせにするためにはどの歯を抜くべきか矯正医は慎重に考えています。

ちなみに、抜歯をして矯正治療を行った割合は、愛知学院大学矯正歯科で56.2%(1995)、鶴見大学矯正科で53.4%(1996)だったそうです。


Q. 矯正治療中は痛いのですか?

初めて矯正装置を装着した直後に、まず口の中に多かれ少なかれ違和感を感じます。大体1週間程度で慣れてしまったという患者さんが多いように思います。歯を並べる治療は、歯に力を加えることで骨の代謝活動を活発化させることを利用して歯を動かすため、特に慣れていない最初のうちは痛みを感じやすいです。この痛みは、若い方の方が感じにくい傾向があり、食べ物を咬んだりした時に感じやすく、2~3日つづきます。その後、調節を行った直後に痛みを感じることがあるようですが、治療期間を通じて常に痛いというわけではありません。

当院では、なるべく痛くなく効率的に早く歯が動くように開発されたワイヤーと大学病院で開発された最新の技術を用いて治療を行っております。以前矯正治療を行ったことのある患者さんの再治療の際、患者さんから昔感じたほどの違和感や痛みはないと感想をいただいています。


Q. 矯正治療中に装置のトラブルはどうすればよいのですか?

矯正装置、特にブラケットはもともと治療後にはすみやかに外すことを前提に歯に接着していますので強すぎる接着剤を用いるわけではありません。そのため無理な力がかかった時には口の中で装置が外れることは起こってしまう可能性があります。日常生活において、硬いものをガリッと咬まないなど、ブラケットが外れないよう注意していただけると良いのですが、なかなか難しいものです。万一外れた場合はすぐに主治医へご連絡ください。すみやかに対処させていただきます。針金やワイヤ-が飛び出して痛い、装置を紛失した場合なども同様です。専門医の早い対応によって、より短期間の快適矯正ライフが可能となります。


Q. 矯正治療中の楽器の演奏は何か影響がありますか?

矯正装置の装着中は、楽器の演奏などに多少の影響が出る場合があります。特にトランペットやホルンのように唇にマウスピースを押しつけるタイプの楽器は、固定式の表側の矯正装置がついていると、唇が装置と楽器にはさまれて痛みを感じることがあります。ガードをつけること、裏側矯正を選ぶことやインビザラインのような取り外しが可能なタイプの矯正装置を選択することも対策のひとつですが、お子さんの装置をつけ始めた時期と楽器を始める時期が重なり、どちらにも慣れていないことが一番の原因と考えられるため、解決の近道は少しづつ慣れていただくことかもしれません。

 

また、くわえるタイプの楽器では、一日何十時間も練習されますと歯の適切な移動を妨げる可能性が高くなります。影響は、練習時間、楽器の種類、不正咬合の程度によって異なりますので担当医にご相談いただくのが良いかと思います。


Q. 他院で行った矯正の再治療や他院からの治療の継続はできますか?

もちろんほとんどが可能です。患者さんに再度当院での検査を受けていただき、現在の状況や過去の矯正治療の内容をできるかぎり正確に把握したうえで、治療の方法、期間や予測される結果、当院での費用についてお話しさせていただきます。特に、他院からの再治療や治療継続につきましては、患者さんと十分なインフォームドコンセントを得られるまで話し合うことが肝心です。なぜなら、患者さんの状態が、ご自身が想像されている以上に難症例となっていることが少なくないからです。


Q. 中高年でも矯正治療が受けられますか?

もちろんほとんどが可能です。中高年においても基本的には矯正治療、外科的矯正治療を受けること、おこなうことに問題はございません。ただし、矯正治療を行う場合は、患者さんの全身状態や歯や歯の周りの健康状態を十分に把握してから慎重に行う必要性があります。患者さんにおいては全身的なご病気や歯周病などに罹っていらっしゃることが多く、歯がなかったり、入れ歯が入っていたりするためで、それらを考慮した治療目標、治療計画の立案が必要となるからです。


Q. 差し歯やブリッジがあっても矯正治療はできるの?

できるかどうか、歯根の状態をレントゲンなどを用いて精査します。健康な状態であると判断できる場合には全く問題なく矯正治療が行えます。しかし、歯根や被せものに問題がある場合には、残念ですが歯を抜く処置を優先することもあります。一方、歯を抜く代わりに矯正によってはみ出していた歯をその抜いた所へ移動しうまく隙間を埋める、といったこともできることがあります。まずは、診察を受けられてみて、計画を立てることが重要かと思います。


Q. 矯正用インプラントって?

矯正用インプラントを用いた「インプラント矯正」は、小型のインプラントスクリューを固定源とすることで確実に必要な場所へ歯を移動させる治療法で効率的かつ短期間に歯を移動させることが可能です。


Q.手術時間はどのくらいかかりますか?

だいたい10-20分程度で終了します。

 

Q.手術時の痛みはありますか?

麻酔をしますので痛みはありません。

 

Q.手術後の痛みや腫れがありますか?

ほとんどの場合、痛みや腫れが出ることはありません。

 

Q.目立ちませんか?

目立ちにくい奥の方に着けることが多いでしょう。また、矯正用のインプラントスクリューですので治療上必要が無ければすぐ取り除きます。

 

Q.矯正インプラント除去後はどうなりますか?

小さいものですので、すぐに歯茎、歯肉、歯槽骨は元に戻ります。

 

Q. 見えない矯正装置はありますか?

あります。従来から一般的に使用されているマルチブラケット装置(患者さんの最も想像する矯正装置です)も随分審美性が向上していますので、クリニックで実物をみるとそれほど悪くないなと感じられる方が多いように思いますが、装置のメリット・デメリットを患者さんが十分に理解していただいたうえで、なお目立たないものが良いと判断される場合には、歯の裏側からつけるマルチブラケット装置と取り外しができる透明なウレタン樹脂でできたアライナーとよばれる薄いマウスピースタイプのものをご提案いたします。当院では、これら装置を単一で使用し治療する場合は、治せるケースが限定されることが多いため、治療の効率化と最大の効果そして審美性を両立させるために、当院独自の解決方法として、他の矯正装置との併用をお勧めすることがあります。

 

Q. アライナー矯正って?

 

インビザライン・システム

 

 

矯正治療(インビザライン・システムによる矯正治療も含む)を受けることにより、歯周組織の改善につながる 可能性がある一方で、矯正治療(インビザライン・システムによる矯正治療も含む)には限界があり、また、合併 症の危険性(下記参照)を伴うということを、矯正治療に同意していただく前に十分に検討していただく必要があります。

 

装置の特性

インビザライン・システムは、米国アライン・テクノロジー社(以下、「アライン社」)によって開発された、着脱可能 で、目立たない、医療用熱可塑性樹脂で作製されるアライナーを用いた矯正システムです。段階的にアライナー を装着していくことによって、少しずつ歯の位置が動いていくようにデザインされています。インビザライン・システ ムにおいては、歯科医の診察と処方をアライン社独自の3次元治療計画ソフトウェア(以下、「クリンチェック・ソフ トウェア」)と組み合わせることにより、望まれる歯の移動方法を示す治療計画が策定されます。治療計画が歯科 医によって承認されたのち、それぞれの患者様の治療内容に即したインビザライン・アライナーの製造が開始さ れます。

 

日本国の法律への遵守

日本ではインビザライン・アライナーの材質について、薬事法上の許認可を取得しておりますが、製品それ自体 は、薬事法上の医療機器及び歯科技工士法上の矯正装置には該当しないため、日本国内での臨床試験は行っておりません。しかし、東京都から、インビザライン・アライナーについて米国から輸入・販売し、使用することについては法令上問題ないとの判断を得ています。

 

治療過程

患者様はX線写真や写真撮影を含む、通常の矯正治療と同様の検査および診断を受けます。歯科医は患者様 の歯の印象を採得し、治療計画書とともにアライン社へ送付します。アライン社の技術者は歯科医から提出され た治療計画書の内容に従い、クリンチェック・ソフトウェア上にて治療モデルを作成します。クリンチェック・ソフトウ ェア上の治療計画の承認を歯科医より得たのち、アライン社はカスタマイズされたアライナーを製造し、歯科医に 送付します。 治療に必要なアライナーの数は、歯科医の治療計画内容によって異なります。アライナーには個々に番号がつ けられ、使用上の説明とともに歯科医より患者様に手渡されます。歯科医から別途特別な指示がない限り、患者 様は食事、ブラッシングやフロス時以外、1日20~22時間を目安に装着することが推奨されます。歯科医からの 指示に従い、2~3 週間ごとに次のアライナーに切り替えていきます。治療に要する期間は歯科医の治療計画内 容によって異なりますが、歯科医より別途特別な指示がない限り、最低でも 6~8 週間ごとに受診をされることが 望ましいです。場合によっては、歯の移動を促進させるため、治療中に歯にアタッチメントを接着すること、および /もしくはエラスティックを装着することが必要となる可能性もあり審美性に影響する場合があります。また、患者 様によっては、当初の一連のアライナーの装着に加えて、さらに仕上げのために追加アライナーの装着を要する場合もあります。

 

利点

・ インビザライン・アライナーは、従来の矯正装置の代替となり得る、審美的な矯正治療 装置です。

・ アライナーは透明に近いため、治療中も気づかれにくくなっています。

・ クリンチェック・ソフトウェアを通じて、歯の移動方法を視覚的に確認することができます。・ アライナーは可撤式のため、従来のブレースを装着した場合は比較的困難なブラッシングやフロスを、通常 通り行うことができます。

・ 従来の矯正治療と異なり、アライナーは金属性のワイヤーやブラケットを使用しません。

・ アライナーは可撤式のため、治療中の口腔衛生の維持が期待されます。

 

治療の限界と考えられる合併症

他の矯正治療装置と同じく、インビザライン・システムの使用には次のような限界があり、また、合併症が考えら れます:

 

  1. 1 日当りの所定の製品装着時間が守られない場合、製品が担当医師の指示通りに使用されない場合、 アポイントメントが守られない場合、および/もしくは特殊な形状の歯が存在する場合については、治療 期間が長期化する可能性があり、望まれる治療結果の実現性に影響を与える場合があります。
  2.  次のステージのアライナーに交換した後に、歯の圧痛を経験する場合があります。
  3.  歯肉、頬及び唇に、製品による擦り傷または痛みが生じる場合があります。
  4. 治療完了後に歯の位置が移動する場合がありますが、治療終了時にビベラ・リテーナーを忠実に装着することにより、その傾向を減じる一助となります。
  5. 患者様が糖分を含有する食品または飲料を消費し、製品の装着前に適切に歯磨およびフロスを行わな かった場合、もしくは適切な口腔衛生上および歯科疾患予防上の管理を怠った場合には、虫歯、歯周病、 歯肉炎もしくは脱灰等が生じる場合があります。
  6. 製品は一時的に発音に影響を与える場合があり、結果として舌のもつれを生ずる場合がありますが、製 品に関連した発話障害は、通常1週間から2週間以内に軽減します。
  7. アライナーの使用により、一時的な唾液分泌の増加または口の渇きを生ずる場合があり、また特定の医 薬品によってその効果が増大する場合があります。
  8. 治療の過程で、歯牙移動を促進させるため、および/もしくはアライナーを維持するために、一時的に一 歯または複数の歯にアタッチメントを接着する場合があります。これらのアタッチメントはすべて、治療終 了後にインビザライン・ドクターは除去する必要があります。
  9. アタッチメントは脱離することがあり、再設置が必要となる場合があります。
  10. 歯の移動を可能とするための空隙を創り出すため、歯の削合が必要となる場合があります。
  11.  咬合状態が治療過程全体を通して変化する場合があり、結果として患者様に一時的な不快感を与える可 能性があります。
  12. 稀に、患者様が歯ぎしりをしていた場合や咬耗が生じていた場合、アライナーの表面にわずかな摩耗が 生じることがありますが、通常、全体的なアライナーの性能および強度が損なわれることはないため、問 題ありません。
  13.  矯正治療の最終段階で、咬合調整が必要となる場合があります。
  14.  歯牙が特殊な形状をしている場合や、萌出および/または欠損している場合、アライナーの適合性およ び希望通りの治療結果の達成に影響を与える場合があります。
  15. 重度のオープンバイト、重度のオーバージェット、混合歯列および/または骨格性狭窄歯列の治療は、ア ライナー治療に加え、補助的な治療が必要な場合があります。
  16. アライナー単独では、希望する治療結果が実現しにくいと思われるような複雑な治療計画の場合、歯に接 着するボタン、エラスティック、補助的な装置および/もしくは歯科用機器(一時的なアンカレッジ装置、部 分的な固定装置など)の使用を含む補助的な矯正治療、および/もしくは補綴処置が必要とされる可能 性があります。
  17. 長期間にわたって重なっていた歯は、歯間接触下部の歯肉組織が失われている場合があり、歯列矯正を 行うことで、「ブラックトライアングル」が発生する可能性があります。 (xviii) アライナーは、歯科用インプラントの移動に有効ではありません。
  18. 全体的な健康状態および医薬品の服用が、歯列矯正治療に影響を与える場合があります。
  19. 歯を支える骨および歯肉の健康状態に影響を与える場合があります。
  20. 重度な叢生または顎の不均衡を改善するために、インビザライン製品を装着するに先立って、口腔外科 手術が必要となる場合があります。当該手術が必要な場合、麻酔および適切な治癒に関連するリスクを 治療前に考慮する必要があります。
  21. 稀に、歯の寿命を縮める場合があり、歯内治療および/もしくは追加的な補綴修復処置等の追加的な歯 科治療が必要となる可能性、および、歯が失われる可能性があります。 また、過去に歯の損傷があった 場合、または大規模な補綴修復処置がなされていた場合、さらに悪化する可能性があります。
  22. 既存の補綴修復(クラウン等)は、外れてしまうか、もしくは緩んでしまう場合があり、再接合、または、場合 によっては交換が必要となる場合があります。
  23. 臨床歯冠が短い場合、製品を固定させる上で問題となり、歯の移動が阻害される場合があります。
  24. 矯正治療中、歯根の長さが短くなる場合があり、歯の寿命が短くなる可能性があります。
  25. 叢生の程度が重度の場合、および/もしくは欠損した歯が複数存在する場合、製品破損の可能性が高く なります。
  26. 矯正装置またはそのパーツについては、偶然に飲み込んだり吸引してしまう可能性があり、そのリスクは、 ドクターがアライナーを一部切除したり改造した場合に増大します。
  27. 稀に、顎関節に問題が生じる場合があり、それによって関節痛、頭痛または耳の障害が生じる場合が あります。
  28. 稀に、アレルギー反応が発現する場合があります。
  29. すべての歯が少なくとも部分的にアライナーで覆われていない場合、過剰萌出する可能性があります。
  30. 稀に、遺伝性疾患である遺伝性血管性浮腫(HAE)の患者様の場合、喉頭など、特定の皮下組織に浮腫 の急性発作が起こる場合があります。HAE 発作は、歯科処置等の弱い刺激が誘因となる可能性があります。 

 

 

注意:本文書は日本法を準拠法として作成されている文書であり、日本国内での使用に限ります。 Note: This documentation has been prepared in accordance to the laws of Japan and therefore, the use of this documentation shall be restricted accordingly to orthodontic practitioners in Japan only. 201408 (参考資料)